圓井繊維機械株式会社

リンキングミシンの種類
リンキングミシンを大別すると、(1)ヤスミ式フラットリンキング(2)ダイアルリンキング (3)その他がある。
  1. ヤスミ式フラットリンキング機
    直線のクシ針を使った八角氏の考案による平型リンキング機はヤスミ式と言われ、日本独特の単環式リンキング機である。その特徴は

    1. 機械本体がコンパクトで軽量であるため持ち運びが容易であること。

    2. ダイヤルリンキング機に比べ安価であること。

    3. 後始末が速いこと(リンキングのあと、目を引かなくても良い)である。

    多品種少ロットで切り替えの多い日本型生産には、その対応にマッチした機種で、特に家庭内職を中心に多く使用されている。


  2. ダイアルリンキング機
    ダイアルリンキング機は外針式と内針式に分かれ、外針式は縫い針(直針、曲針とがある)が外側よりポイント針の先端へ向かって入り、内側でループを作る方式である。内針式は縫い針が内側よりポイント針の先端へ向かって入り、ポイント針の前でループする内針式内縫方式で、外針式より高速回転が可能で、機械的なトラブルも少ないがやや作業性に欠ける。

    同じ内針タイプでも縫い針にフック針を使用した内針式もあり、ルーパーに糸を通して縫う撚糸機構で縫い調子に安定性がある。その他、1台の機械で単環縫、二重環縫をルーバー交換で切り換えられる機種もある。地縫い関係は二重環縫、運動量の少ない襟、ポケット、前立て等のパーツ縫製は縫い目の美しい単環縫、と区別して使う事が望ましい。

    フラットリンキングとダイアルリンキングの特徴を比較すると、

    1. ダイアルリンキングはポイント針が円形状に配列されているためエンドレスで縫製ができる(カーディガン、ワンピース等の長尺ものに最適)のに対し、フラットリンキング機はクシ針の長さに限界(最長45インチ)があり、長尺ものの縫製は刺し替えが必要である。

    2. フラットリンキング機は送り装置が1針につきクシ針の1ポイント針とな っているので、確実に1目1目を送る方式で目落ちが少ない。

    3. .ニードルループのどの位置を縫うかで、リンキングしたあと引き目作業の 要否が決まるが、フラットリンキングはニードルループの最先端を縫うため  リンキングのあと、目を引かなくても良いのに対し、ダイアルはループの中  央部を縫い針が通過するためリンキングの後始末(目を引く作業)が必要と  なる。

  3. その他
    カップシーマーによるリンキング縫製
    カップシーマーは2つの回転する送りカップで布送りするミシンで、編耳どうしを継ぎ合わせるものである。2つのカップで生地を送るため縫いずれがなく、縫い代も浅く縫える。カール防止アタッチメントがあるため、特に天竺編のカールした編耳を開きながら耳端を浅く縫うのに適している。

    用法としてはリンキング縫製の地縫いで脇縫い、柚底縫いおよび袖口縫いなどに使われており、縫製個所により単環縫ミシン、二重環縫ミシンと区別され使われている。カップシーマーは縫製の形状によって使いわけが可能である。カップシーマーの縫製での留意点はリンキングのように目刺ししないので、特に縫い始め、縫い終わりの縫いずれに注意する必要がある。また、脇縫いと袖底縫いの交点では生地が厚くなるため、ガイド位置を下げて深縫いする必要がある。

参考文献「ニット素材・縫製ブック」センイジヤァナル発行

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